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薬物に対する生体応答には、著しい個体差が認められています。この薬物の反応性に影響を及ぼす因子のひとつとして遺伝子の一塩基多型(SNPs)が数多く報告されています。
薬物投与前にこれらの遺伝子型を調べることによって、薬物の反応性、動態、副作用の発現が予測できれば、各個人に応じた安全で有効な薬物治療が可能になります。いわゆるオーダーメイド医療です。また、製薬の分野では臨床試験において事前に遺伝子型を知っておくことで薬剤の開発が効率的になります。 |
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| CYP2C9 |
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CYP2C19 |
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・CYP2C9*2(C430T)
・CYP2C9*3(A1075C)
薬物代謝酵素の中心を担っているCYPは遺伝的な多型が存在し、このCYPの遺伝的欠損者は、常用量の薬剤投与でも副作用が現れます。CYP2C9は治療域の狭い、臨床的にも重要な薬物に関与しています。抗てんかん薬のフェニトインや抗凝固薬のワルファリン、糖尿病治療薬のグリピジド、トルブタミドの代謝に関与しており、遺伝的欠損者は血中濃度時間曲線下面積(AUC)の上昇、半減期の延長などが報告されています。
| 1) |
澤田康文, 薬物動態・作用と遺伝子多型, 119-132, 医薬ジャーナル社 (2001) |
| 2) |
A. E. Rettie et al., Pharmacogenetics 4, 39-42 (1994) |
| 3) |
T. H. Sullivan-Klose et al., Pharmacogenetics 6, 341-9 (1996) |
| 4) |
横井毅, 遺伝子医学 5, 16-20 (2001) |
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・CYP2C19*2(G681A)
・CYP2C19*3(G636A)
日本人でのCYP2C19のPM頻度は約20%と言われています。CYP2C19は、ピロリ菌の除菌に使用されるプロトンポンプ阻害剤(PPI)のオメプラゾール、催眠鎮痛薬のジアゼパム、抗てんかん薬のフェニトイン、抗うつ薬のイミプラミン、マラリア治療薬のプログアニルなど実に多くの薬剤代謝に関与しており、PMでは血中濃度時間曲線下面積(AUC)の上昇、半減期の延長などが報告されています。変異アレル(*2,*3)のホモ接合体又は複合ヘテロ接合体の人は、PMの可能性があります。
(PM:Poor Metabolizer/代謝能欠損または著しく低い人)
| 1) |
澤田康文, 薬物動態・作用と遺伝子多型, 133-146, 医薬ジャーナル社 (2001) |
| 2) |
S. M. De Morais et al., Mol Pharmacol 46, 594-8 (1994) |
| 3) |
横井毅, 遺伝子医学 5, 16-20 (2001) |
| 4) |
古田隆久ら, 遺伝子医学 5, 58-62 (2001) |
CYP2C19に関しましてはこちらもごらんください |
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| MDR1 |
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NAT2 |
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・MDR1(C3435T)
・MDR1(G2677T,A)セット
多剤耐性遺伝子MDR1は、薬物を能動的に輸送する細胞膜P糖タンパク質をコードしている遺伝子です。
近年、その機能や発現量がMDR1遺伝子型に依存することが示唆されています。現在までにMDR1遺伝子上には20箇所以上のSNPが報告されていますが、その中で、3435番目の塩基がCからTに置換する多型において、T/Tを有する人はC/Cの人よりP糖タンパク質の発現量が少なく、P糖タンパク質の基質となる薬物(ジゴキシンなど)の吸収が亢進することが示されています。また、G2677T,A多型も発現量に関係していると考えられています。P糖タンパク質は、薬物の吸収、分布、排泄の課程において重要な働きをしているため、この遺伝子の多型を知ることは大変重要と考えられています。
| 1) |
澤田康文, 薬物動態・作用と遺伝子多型, 265-275, 医薬ジャーナル社 (2001) |
| 2) |
S. Hoffmeyer et al., Proc Natl Acad Sci U S A 97, 3473-8 (2000) |
| 3) |
M. M. Ameyaw et al., Pharmacogenetics 11, 217-21 (2001) |
| 4) |
M, Tanabe et al., Pharmacol. Exp. Ther., 297, 1137-43 (2001) |
| 5) |
I. Cascorbi et al., Clin Pharmacol Ther 69, 169-74 (2001) |
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・NAT2*5(T341C)
・NAT2*6(G590A)
・NAT2*7(G857A)
N-アセチル化転移酵素2(N-acetyltransferases 2:NAT2)は、結核治療薬イソニアジド(INH)や潰瘍性大腸炎などに用いられるサラゾスルファピリジンなどの臨床的に重要な薬物代謝に関与しています。その酵素活性には個人差があり、NAT2の活性が高い表現型はRapid Acetylator、低い表現型はSlow
Acetylator(SA)と呼ばれており、遺伝的多型が存在することが知られています。日本人では野生型NAT2*4を含む4種類の多型(NAT2*4、NAT2*5、NAT*6、NAT2*7)が存在すると言われています。変異アレル(5、*6、*7)のホモ接合体又は複合ヘテロ接合体を有する人はSAの可能性があります。INHをはじめとする薬物の副作用を回避する上でNAT2遺伝子型検査は有用と考えられます。
| 1) |
澤田康文, 薬物動態・作用と遺伝子多型, 195-205, 医薬ジャーナル社 (2001) |
| 2) |
D. Hickman et al., Biochem Pharmacol 42, 1007-14 (1991) |
| 3) |
M. Ohno et al., Int J Tuberc Lung Dis 4, 256-61 (2000) |
| 4) |
T. Kita et al., Biol Pharm Bull 24, 544-9 (2001) |
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| 各遺伝子に関連する代表的な薬剤 |
CYP2C9
フェニトイン(抗てんかん薬)
ワルファリン(抗凝固剤)
トルブタミド(糖尿病治療薬)
イブプロフェン(抗炎症薬)
ジクロフェナク(抗炎症薬)
CYP2C19
ジアゼパム(催眠鎮痛薬)
オメプラゾール、ランソプラゾール、
ラベプラゾール(抗潰瘍薬)
フェニトイン(抗てんかん薬)
メフェニトイン(抗てんかん薬)
メフォバルビタール(抗てんかん薬)
イミプラミン(三環系抗うつ薬)
ヘキソバルビタール(催眠鎮痛薬)
プログアニル(マラリヤ治療薬)
カリソプロドール(筋弛緩薬) |
NAT2
イソニアジド(結核治療薬)
プロカインアミド(頻脈性不整脈治療薬)
サラゾスルファピリジン(潰瘍性大腸炎治療薬)
MDR1
ビンカアルカノイド(抗がん剤)
マイトマイシンC(抗がん剤)
サキナビル(HIVプロテアーゼ阻害剤)
リトナビル(HIVプロテアーゼ阻害剤)
シクロスポリンA(免疫抑制剤)
ジゴキシン(循環器系・血液系用剤)
シメチジン(消化器用剤)
テルフェナジン(抗ヒスタミン剤)
モルヒネおよびその代謝物(中枢作用薬)
エリストロマイシン(抗生物質)
イトラコナゾール(抗生物質) |
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