BML の新規アレルギー検査

アレルギー検査 (生体検査と血液検査)
現在行われているアレルギー検査は、生体検査と血液検査に大別されます。生体検査には、皮膚テスト (スクラッチテスト、皮内テスト、パッチテスト) や負荷試験などがあります。これらは、アレルギー物質 (アレルゲン) に対する被験者の生体反応を調べる検査であるため、検査結果が臨床症状をよく反映するという利点がありますが、被験者に負担をかけ、重篤な副反応 (アナフィラキシー) の危険性を伴うという欠点があります。一方、血液検査には抗原特異的 IgE 定量、ヒスタミン遊離試験 (HRT)、およびリンパ球刺激試験 (LST) などがあります。これらの検査は検体を用いて調べるため、生体検査と比較して被験者への負担は少ないのですが、検査結果が臨床症状と一致しない場合があります。このため BML では、既存の血液検査より精度が高い新規アレルギー血液検査の開発に注力して、好塩基球活性化試験 (Basophil Activation Test: BAT) およびアレルゲン特異的リンパ球刺激試験 (Allergen-specific Lymphocyte Stimulation Test: ALST) といった他社では未実施のアレルギー検査を受託しています。

BAT
BAT は、IgE 依存性アレルギーの臨床症状と一致性が高い検査です。この検査は、アレルゲンによる好塩基球細胞表面の活性化マーカーの変化を、フローサイトメーターで解析します1-3IgE 依存性アレルギーは、肥満細胞に発現する IgE 受容体に結合している抗原特異 IgE とアレルゲンとの抗原抗体反応により肥満細胞が活性化することによっておこります。肥満細胞は血液中に存在しないため、その反応を血液検体で調べることはできません。しかしながら、同様の反応は白血球の一種である好塩基球でも起こるため、好塩基球をターゲットとすることによりアレルギー反応を血液で検査することが可能となります。BAT は、アレルギー反応を患者自身の細胞変化として直接捉えるため、臨床症状をより反映する検査です。 また、この検査は調べたいアレルゲンを自由に選択できることを特徴とします。食物アレルギーでの診断方法としてのBATの有用性については、「食物アレルギー診療ガイドライン 2016」4 に記載されています。BML では、BAT 検査用アレルゲンとして卵 (卵白、オボムコイド)、牛乳 (ミルク全タンパク、カゼイン)、小麦 (可溶性画分、粗製グリアジン、ω5 グリアジン)、およびスギ花粉を準備しています。またそれら以外に、希望される任意のアレルゲン (薬、化粧品、食品など) にも対応可能です。

ALST
ALST は、食物に対する細胞依存性アレルギーを検出する検査です。
この検査は、1998年に岐阜大学の近藤直実先生(現平成医療短期大学学長)により報告5された食事アレルゲン添加培養によるリンパ球増殖反応試験を原法としています。静岡県立こども病院木村光明先生は、各種アレルゲンで測定意義を確認し6-8、新生児・乳児消化管アレルギーという疾患を診断する検査として ALST を確立しました9。BML では木村先生のご指導を受けて基準値設定を行い10、ALST を実施しています。 新生児・乳児消化管アレルギーにおける補助診断としてのALST の有用性は、「食物アレルギー診療ガイドライン 2016」4 に記載されています。この疾患はミルクアレルギーの一種で、症状が遷延化すると重症化してイレウスや発達障害を起こす場合があるため、栄養源から確実に原因アレルゲンを同定し、除去する必要があります。しかしながら、多くの症例においてミルク特異的 IgE は陰性なため、この時期の最大の栄養源となるミルクの除去は躊躇されがちです。一方、ミルクアレルゲンを用いたALST は、この疾患を高感度に検知9,10、その結果、確実な治療介入を可能にします。ミルクアレルゲン7種と卵白やダニ、スギなど ミルク以外のアレルゲン9 種の測定を受託しています。

最後に
BAT、ALST を含めた各アレルギー検査の比較を表1にまとめました。なお、現在のところ、BAT および ALST はともに保険収載されていない研究検査です。


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参考文献

    1.  Boumiza R, Monneret G, Forissier M F, et al. Marked improvement of the basophil 
         activation test by detecting CD203c instead of CD63. Clin.Exp.Allergy 2003;33:259-265.

      2.  de Weck A L, Sanz M L, Gamboa P M, et al . Diagnostic tests based on human basophils: 
           more potentials and perspectives than pitfalls. Int Arch Allergy Immunol 2008;146:177-
             189.

          3. 好塩基球CD203c発現定量による新しいアレルギー検査の可能性
              篠田牧人、平井博之、橋口明彦、他  
                Medical Science Digest 2009;35:73-76

                  4. 食物アレルギー診療ガイドライン 2016
                      日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会
                        協和企画 2016

                          5. Kondo N, Agata H, Fukutomi O, et al. Lymphocyte resposes to food antigens in patients
                              with atopic dermatitis who are sensitive to foods. J Allergy Clin. Immunol 1990;86:253-
                                260.

                                  6. Kimura M, Tsuruta S, Yoshida T. Correlation of house dust mite-specific lymphocyte 
                                      proliferation with IL-5 production, eosinophilia, and the severity of symptoms in infants
                                        with atopic dermatitis. J Allergy Clin. Immunol 1998; 101:84-89.

                                          7. Kimura M, Obi M, Saito M. Japanese cedar pollen-specific interleukin-4 production
                                              develops immediately after the first exposure to pollens in infants with atopic dermatitis .
                                                Clin Exp Allergy 2004; 34:1032-1036.

                                                  8. Kimura M, Obi M. Ovalbumin-induced IL-4, IL-5 and IFN- production in infants with
                                                      atopic dermatitis. Int Arch Allergy Immunol 2005; 137:134-140.

                                                        9. Kimura M, Oh S, Narabayashi S, et al  Usefulness of lymphocyte stimulation test for the
                                                            diagnosis of intestinal cow’s milk allergy in infants. Int Arch Allergy Immunol 2012; 157:
                                                              58-64.

                                                                10. 乳児早期消化管型アレルギー患児における牛乳特異抗原によるリンパ球刺激試験について
                                                                     橋口明彦、松尾久美子、木村光明
                                                                       アレルギーの臨床 2011;31:75-80.

                                                                        2013.07 第1版
                                                                          2017.03 第2版


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