リアルタイムPCRによるHCV遺伝子型判定検査

  1. C型肝炎ウイルスの遺伝子型と治療法の関係
  2. C型肝炎ウイルス (Hepatitis C virus ; HCV) の持続感染者 (キャリア) は全世界で1億8000万人、本邦で130万~240万人存在します1。さらにC型慢性肝炎患者のおよそ15%~30%が、肝硬変や肝細胞癌などの重篤な合併症を発症すると推定され2、これは公衆衛生上の重要な問題と考えられています。
  3. C型慢性肝炎治療の目標は、有効な抗ウイルス療法を行うことにより、HCVを排除し、肝細胞癌や慢性肝疾患に起因する死亡を抑止することです。実際にインターフェロン (interferon; IFN) 治療によりHCV RNAの排除に成功した症例では、肝炎が鎮静化し4、肝発癌や肝病変の進行が抑制されることが明らかになっています5
  4. また近年、C型肝炎治療法は目覚ましく進歩し、治癒率が高く、かつ副作用の少ないIFNフリーの経口薬 (Direct Acting Antivirals:DAA) が複数承認されてきています (表1)。HCV遺伝子型検査は薬剤を選別する検査として有効です。これまでBMLでは実績のあるNested PCR法にて遺伝子型判定を実施していました。本法は、PCR産物を電気泳動により分離後目視によるバンドサイズの判定により遺伝子型判定するため、バンドサイズの微妙な違いを判定することが困難な症例が稀に存在することや、用手法であるため操作が煩雑で多検体処理には不向きであるという課題がありました。さらに、近年HCV遺伝子の配列情報がNested PCR法構築時より蓄積され、遺伝子型の多様性がより明確になってきたことから、新たにリアルタイムPCR法によるHCV遺伝子型判定検査を構築いたしました。

表1 国内承認済み経口内服薬/インターフェロンフリー療法(2016年8月現在)

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                                                                 出典:C型肝炎治療ガイドライン(第5版)3より抜粋

リアルタイムPCR法によるHCV遺伝子型判定

  1. 新たに構築したリアルタイムPCR法は、従来法であるNested PCR法同様、HCVの1a型、 1b型、 2a型、 2b型、 3a型の5種類の遺伝子型を判定することが可能です。また新たに構築したリアルタイムPCR法は、従来法であるNested PCR法同様、HCVの1a型、 1b型、 2a型、 2b型、 3a型の5種類の遺伝子型を判定することが可能です。また最新の配列情報を基に型特異的プライマー・プローブを設計することにより、より正確な遺伝子型の判定が可能となります。
  2. リアルタイムPCR法とNested PCR法との相関
  3. 同一検体をリアルタイムPCR法とNested PCR法で測定したところ、非常に高い相関が得られました。さらにリアルタイムPCR法ではNested PCR法では型判定が困難な遺伝子型や、2つの異なる遺伝子型HCVの重複感染にも的確に判定できます(表2)。


表2 従来法(Nested PCR法)と新法(リアルタイムPCR法)の相関


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リアルタイムPCR法によるHCV遺伝子型判定

新たに構築したリアルタイムPCR法は、従来法であるNested PCR法同様、HCV1a型、 1b型、 2a型、 2b型、 3a型の5種類の遺伝子型を判定することが可能です。また最新の配列情報を基に型特異的プライマー・プローブを設計することにより、より正確な遺伝子型の判定が可能となります。




おわりに

リアルタイムPCR法によるHCV遺伝子型判定は従来法であるNested-PCR法と比較して、より高精度な遺伝子型判定法であることを確認しました。




参考文献

    1. Ghany MG, Strader DB, Thomas DL, Seeff LB. Diagnosis, management, and treatment of 
       hepatitis C: an update. Hepatology. 2009;49(4):1335-74.
     
    2. Sievert W, Altraif I, Razavi HA, et al. A systematic review of hepatitis C virus epidemiology in Asia, Australia and Egypt. Liver Int. 2011;31 Suppl 2:61-80.
     
    3. C型肝炎治療ガイドライン(第5版).
       日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会編
       2016年5月 
     
    4. Hagiwara H, Hayashi N, Mita E, et al. Detection of hepatitis C virus RNA in serum of patients with chronic hepatitis C treated with interferon-alpha. Hepatology. 1992;15:37-41.
     
    5. Cardoso AC, Moucari R, Figueiredo-Mendes C, et al. Impact of peginterferon and ribavirin therapy on hepatocellular carcinoma: incidence and survival in hepatitis C patients with advanced fibrosis. J Hepatol. 2010;52:652-7
     
    6. Lok AS, Gardiner DF, Lawitz E, et al. Preliminary study of two antiviral agents for hepatitis C genotype 1. N Engl J Med. 2012;366:216-24. 
     
    7. Vermehren J, Sarrazin C. The role of resistance in HCV treatment. Best Pract Res Clin 
       Gastroenterol. 2012;26(4):487-503.



    2017.03 作成



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