変異原性試験
一般化学物質や医薬品等の新規化学物質の製造・輸入承認を得るために必要な短期毒性試験である、変異原性試験(遺伝毒性試験)を実施しています。
我が国では、ポリ塩化ビフェニル(PCB)による環境汚染問題を契機として、昭和48(1973)年に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」が制定され、新たに製造・輸入される化学物質について事前に人への有害性などについて審査するとともに、人の健康を損なうおそれがある化学物質の製造・輸入及び使用を規制する仕組みが設けられました。また、PL法※1の導入やSDS※2の作成等、供給側としての各企業の責任がますます重くなってきています。
当社は、各省庁の許認可を得るための試験を実施するGLP適合施設として40年以上の経験と21,000物質以上の受託実績があり、国内有数の受託ラボとして各種企業並びに官公庁からの信頼を得ています。また、労働安全衛生法、化審法届出用書類の作成、海外申請のための英訳報告書の作成も承ります。
- ※1PL法(製造物責任法):製造物から生じる被害に対する、企業の責任を定めた法律。
- ※2SDS(Safety Data Sheet;安全データシート):化学製品による事故を未然に防止することを目的として、製品の製造業者又は輸入業者が、製品の環境・安全・健康面の影響に関する情報や安全な使用と取り扱いを確保するための情報を製品の利用者に対して提供するためのデーターシート。
受託試験内容
細菌を用いる復帰突然変異試験(Ames試験)

米国のエームス博士らによって開発されたこの試験は、化学物質の安全性評価の in vitro 試験として世界的に広く実施されています。
- 過去17,000物質以上の受託実積
- プレインキュベーション法とプレート法を受託
- GLP対応として以下の菌株を常時使用
- 標準的使用菌株
- S.typhimurium TA100
- S.typhimurium TA98
- S.typhimurium TA1535
- S.typhimurium TA1537
- E.coli WP2 uvrA
- ※オプション菌株(S.typhimurium TA1538、S.typhimurium TA102、E.coli WP2 uvrA/pKM101等)についてもお気軽にご相談ください。
ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験

日本の石館博士らによって開発されたこの試験は、発がんの初期過程を予測するための短期的な試験として国内で広く実施され、化学物質による染色体の「構造異常」や「数的異常」誘発性の有無を評価します。
- 過去500物質以上の受託実積
- 背景データの豊富なチャイニーズ・ハムスターの肺由来線維芽細胞(CHL/IU細胞)を用いる試験を受託
変異原性試験を必要とする各種GLP対応試験
変異原性試験を必要とする国内における各種GLP対応の試験の組み合わせは次の通りです。
GLP名 | 対応試験名 | 備考 |
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労働安全衛生法 | Ames試験 | 年間の製造/輸入量が100kg以上の新規化学物質 |
追加試験: 染色体異常試験 | ||
化審法 | Ames試験 | 年間の製造/輸入量が1,000kg以上の新規化学物質 |
染色体異常試験 | ||
28日反復投与毒性試験 | ||
追加試験: 小核試験 | ||
生態毒性試験 | 10t/年間以上の場合 | |
医薬品医療機器等法 | Ames試験 | ヒトの予防や治療に用いる医薬品や医療機器 |
染色体異常試験 | ||
小核試験 | ||
追加試験: in vivo染色体異常試験 DNA損傷試験等 | ||
動物用医薬品 | Ames試験 | 動物の予防や治療に用いる医薬品 |
染色体異常試験 | ||
小核試験 | ||
飼料添加物 | Ames試験 | 動物の飼料に添加する物質 |
染色体異常試験 | ||
小核試験 | ||
農薬取締法 | Ames試験 | 農産物に用いる薬品 |
染色体異常試験 | ||
小核試験 |
各種変異原性試験の受託から最終報告書提出までの流れ
当社における被験物質の受領から最終報告書の提出・資料保管までの概略は以下の通りです。
- 1電話やFAX等でのお問い合わせ
- 2ご依頼試験についての具体的内容説明(納期、費用等)
- 電話またはe-mailによるご説明
- 御社訪問または当社施設見学等によるご説明
- 3試験実施委託関係書類の作成・送付
お問合せいただいた後、正式にご依頼される際には、以下の書類のご提出をお願いいたします。
- 試験依頼書及び被験物質物理化学的性状調査書[Excel:83KB]
- ※書類名をクリックするとMicrosoftエクセルで開くことができます。範囲を指定して印刷してご使用ください。
- 試験依頼書及び被験物質物理化学的性状調査書[Excel:83KB]
- 4秘密保持契約及び試験委託並びに受託契約等の契約手続き
- 5被験物質の受領
- 6試験の実施、試験結果中間報告及び最終報告等
- 7最終報告書及び各省庁申請書の提出
- 8試験中に発生したデータ類の保管
国内関連GLP査察の経緯(適合確認)
令和5年6月現在、以下のGLPの適合確認を受けています。
令和2年 1月 | 独立行政法人医薬品医療機器総合機構による医薬品GLP査察を受ける(令和2年10月適合) |
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令和2年 10月 | 厚生労働省医薬・生活衛生局に化審法GLP適合確認申請書類を提出する(令和2年11月適合) |
令和2年 12月 | 厚生労働省労働基準局による安衛法GLP査察を受ける(令和3年3月適合) |
令和4年 6月 | 独立行政法人農林水産消費安全技術センターによる農薬GLP査察を受ける(令和4年7月適合) |
お知らせ
農薬GLP適用試験について
農薬の登録申請に係る試験成績について(平成12年11月24日付け12農産第8147号農林水産省農産園芸局長通知)は、平成31年3月31日をもって廃止されました。
農薬の登録申請において提出すべき資料について(平成31年3月29日付け30消安第6278号農林水産省消費・安全局長通知)の主な変更点として、復帰突然変異(in vitro)はOECD-TG471、染色体異常(in vitro)はOECD-TG473に従って実施されることが求められるようになりました。
弊社では、OECD適用試験につきましても過去500物質以上の受託実績があります。
当社近況
微生物変異原性試験研究会(JEMS・BMS)の精度管理試験および共同研究に参加しました。